特記仕様書は「発注者からのラブレター?!」。優先順位と、検査で減点を回避さらに加点へ「特記の活用術」|工事成績評定ser.#11
工事成績評定シリーズ、今回は「特記仕様書」の読み解き方です。
皆さんも現場が始まったとき、図面と特記、穴があくほど確認するでしょう? 図面はモノを造るために当然よく見ていますが、特記、こちらは案外着手時点だけよく見て、その後は「あれ、そうだっけ?」みたいなことになっていないでしょうか。
実は、特記には工事成績評定の減点を回避し、加点を得るための要素がたっぷり詰まっているのです。 今回はこの部分を扱っていきます。
1. 特別に記されているのが「特記」です 〜優先順位の罠〜
まず、基本中の基本ですが、現場におけるルールの「強さ(優先順位)」を正しく理解していますか? 一般的な約款では、以下のように規定されています。
- 現場説明書(およびこれに対する質問回答書)
- 特記仕様書(追加特記仕様書含む)
- 設計図面
- 共通仕様書(土木工事共通仕様書など)
出展:国交省HP:https://www.cbr.mlit.go.jp/kenchiku/pdf/2003_tokki/01/main01.htm
ここで重要なのは、「特記は、図面や共仕よりも優先される」という事実です。
- 共通仕様書の標準が「A」と書いてあっても、特記に「B」とあれば、Bが優先されるのです。
- 受注者相互の協力として「施工に際し相互連絡調整を密にして・・・」とあれば「密」にして、その記録を残しておく必要があるのです。
※ちなみに、公共事業では「先行事業に挨拶にいくのは後発事業のほう」です。先の方が強いのです。 - 「以下の工種を追加する場合がある」と記載されていれば、理由無く拒むことが難しいのです。なんせ、特別に記してあるのですから・・・。
もし、竣工検査の際、この順位を軽視し「いや、共通仕様書にはこう書いてありますから」や「いつもは・・・」などの雰囲気を醸すと、検査官に勉強不足を見透かされ、当然、高得点が望めるはずがありません。
2. 「特記で縛る」の真意=「この工事のポイントはここ!」
発注者は発注段階であらゆるリスクを想定し、所内でワークを行います。 図面はもとより「特記」で細かい指定(縛り)を入れ、後々のトラブルの芽を摘みます。幾重にものぼる会議・決裁という仕組みでクロスチェック・ダブルチェックを施します。
結果として、特記がその工事の明確なメッセージとなるのです。すなわち、ここが加点要素となります。 具体的には、以下のような工事特性の項目が盛り込まれています。
これを読み取り、内容を確実に実施し、記録を残して表現することで、工事成績評定点アップの可能性が高くなるわけです。 いわば特記は、点数を取るための「カンニングペーパー」でもあるのです。
3. 【実践】施工計画書への表現の仕方
では、具体的にどうするか。 ダメな代理人は、特記の文章を施工計画書に「コピペ」して終わりです。これでは「読みました」という証明にしかなりません。
高得点を取る代理人は、特記の要求を「具体的な管理手法」に変換して施工計画書に落とし込みます。
特記:「〇〇工事と相互連絡調整を密に行うこと」
× ダメな施工計画:「近隣工事に連絡をとり工程等打ち合わせます。」(単なるオウム返し)
○ 良い施工計画:「本現場の近隣工事との競合期間は○○となり、○○や○○の競合が想定される。この対応として○○前に○○を実施し、相互の工程・施工順序・施工方法について細部を調整・検討し、工事間調整会議を○回/月開催し課題対応します。」
特記の「縛り」に対し、「どうやってそれを保証するか(How)」を具体的に記載する。そして記録を残し表現する。これが加点への必須項目となります。
4. 工事途中からの「逆転リカバリー術」
「ヤバい、もう工事も半ばだけど、よく見ると施工計画から漏れている」 「変更で特記の項目が浮上してきたが、現場対応のみで書類にしていない」
そんな場合でも、まったく問題ありません。難しく考えずに、現場の苦労を完了検査までに内容を書類として追加すればよいだけです。
① 見落としの総点検と「是正」
今すぐ特記仕様書を再読し、記録が不十分な項目がないかチェックしてください。 もし、特記記載事項で議事録等が不足していたならば、当時の「議事メモ」にメール履歴を添付すれば立派な議事録(と同等)です。 「低騒音機械」の写真がなければ、持ち込み機械一覧表をエビデンスとして、今から撮影して添付すればよいだけです。
② 施工計画書の「変更・追記」
施工計画書は、工事着手時だけの書類ではありません。施工実態に合わせて「変更」するだけです(むしろすべきなのです)。 特記の要求に対し、当初施工計画で盛り込めなかった部分は「追加詳細施工計画書」として提出すればよいのです。
③ 検査での「アピール」材料にする
ここが最重要です。検査の時、検査官から質問されれば、しめたものです。
「それにつきましては、特記仕様書第〇条の『品質確保の厳格化』の記載のとおり、管理を重点的に行いました。具体的には~(ここで写真やデータを見せる)」
この流れであれば、単なる「仕様書順守(当たり前)」が、「発注者の意図を汲んだ創意工夫(加点対象)」少なくともベテラン現場代理人の仕事と捉えられやすくなります。

検査官も人間です。「この代理人は、この現場の工事特性や懸念事項(特記)をよく理解してくれている」と感じれば、心象は劇的に良くなり、評価に反映させたくなるものです。
まとめ:特記仕様書は「武器」になる
特記仕様書を「面倒な制約」と捉えるか、「加点のヒント」と捉えるか。 その意識の差が、工事成績評定の数点、ひいては次回の入札結果に直結します。
今一度、現場事務所の机にある特記仕様書を開いてみてください。 そこには、まだ回収していない「加点の種」が眠っているはずです。
(CTAエリア) 「特記の意図が読み取れない」「施工計画への具体的な落とし込み方がわからない」等の実務的なお悩みは、当事務所にご相談ください。技術サービスの内容はこちら。
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