大手AIシステムは不要。「汎用AI」で工事成績評定を劇的に上げる、中小企業の「最強プレゼン術」|実務支援ser.臨時号
今年はAIがますますビジネスの現場に浸透した一年でした。 そしてついに、大手ゼネコンから「最新の生成AIによる全体施工計画書の作成を支援するシステム」が登場しました。
「すごい技術だ」と感心するだけで終わっていませんか? 実はこのニュースの裏側に、我々地域建設業者が**「工事成績評定」で高得点を叩き出すための重要なヒント**が隠されています。
今回は、高額なシステムを使わずに、月額数千円の汎用AIを使い倒して評定点を積み上げる、**中小企業ならではの「AI活用による勝ち筋」**について考察します。
1. 大成建設のニュースが示す「未来」
先日、大成建設から興味深いプレスリリースが出ました。
【ニュース要約】 大成建設は、入札情報や社内ナレッジを読み込ませ、国交省書式に準拠した施工計画書のドラフトを約10分で自動生成するシステムを開発。作業時間を約85%削減し、視覚言語モデル(VLM)を活用して高品質な計画書を作成可能にする。 (出典:大成建設HPプレスリリース)
素晴らしい技術です。 しかし、このニュースを見て**「うちは中小だから関係ない」「そんな高いシステムは入れられない」**と諦めていませんか?
ちょっと待ってください。 工事成績評定で高得点を取るために、数億円のシステムは本当に必要でしょうか? 答えはNOです。
月額数千円の「汎用AI(GeminiやChatGPT)」と、皆様のパソコン・スマートフォンがあれば、評定の根幹である**「工事特性の把握」から「施工計画」「協議・調整」までのプロセス**を劇的に進化させ、大手にも負けない成果を出せます。
2. 【最重要】「真の工事特性」をAIで視覚化し、社内コンセンサスを秒速で取る
私が考える最も重要なAIの使い途は、ここです。 工事成績評定の出発点であり、施工の成否を決める**「工事特性の把握」と「施工計画への反映」**のスピードと質が、AIで別次元になります。
着手前、把握すべき情報は膨大です。 設計図書だけでなく、路線全体の状況、周辺環境、建設当時の古い資料、過去の補修履歴……。これらを読み解き、現場の「真の姿(隠れたリスク)」を把握するには、ベテランの経験と勘、そして膨大な時間が必要です。
ここで汎用AIの登場です。 これら雑多で膨大なデータをAIに読み込ませ、こう指示するのです。
- 「過去の補修履歴から、今回の工事で特に注意すべき弱点をレポートにまとめて」
- 「路線全体の環境特性と、想定される住民要望をスライド1枚に要約して」
- 「この複雑な交差点の施工ステップを、誰でも分かるイラストにして」
AIは、これらをあっという間に分かりやすいイラスト・スライド・レポートに変換します。
ここからが重要です。 この視覚化された資料を使い、すぐに社内会議を開きます。文字だらけの資料では発言しなかった若手や他部署の人間も、絵を見れば「ここが危ないのでは?」「この手順のほうが良い」と活発に議論できます。
AIが作った「たたき台」をもとに、人間の知恵で「真の施工計画」へと練り上げる。 この濃密な社内コンセンサス(合意形成)が、施工初期段階で完了するのです。

※汎用の生成AIで10分ほどで作成された資料のサンプルです
3. 【協議・調整】「視覚化された計画」で、発注者との認識ズレをゼロにする
社内で練り上げた「真の施工計画」。次はいかに発注者に理解してもらうかです。 評定を左右する**「協議・調整」**のフェーズです。
昔は、現場写真を切り貼りし、OHPシートにマジックで書き込み、必死に説明していました。なぜなら、発注者(監督員)自身も、複雑な図面(特に等高線が入った平面図や縦断図)を直感的には理解できていないからです。 2次元の図面から3次元の完成形を脳内変換するのは高度なスキルであり、ここでの認識ズレが「手戻り」や「評価ダウン」の元凶です。
※発注者の実情について、「発注者は工事のプロではない? ser.#2」「発注者の関心ser.#3」の過去記事もご参考ください
しかし、今の我々には、第2章で作った**「最強の武器(視覚化された計画)」**があります。
- 施工ステップを描いた**「イラスト図」**
- 懸念点と対策をまとめた**「スライド」**
- 根拠データを示した**「レポート」**

※10分ほどで作成したイラストです。精査修正の余地ありですが、短時間で作成できるサンプルとしてご参考いいだければと思います
これらを協議の場に持ち込みます。 「ああ、こういうことですね!このリスク対策なら安心です」 発注者が一瞬で理解し、納得する。施工初期段階で、受発注者間に強固な共通認識が生まれます。
ここまで段取りができれば、あとは計画通りに施工モードです。 「良い施工」ができ、あるいは課題解決の協働パートナーとして解決にあたり、結果として工事成績評定が上がるのは、当たり前の帰結なのです。
4. 【社会性・創意工夫】マンガ活用で「加点」を確実にする
さらに、汎用AIは**「社会性」と「創意工夫」**の項目でも特大の威力を発揮します。
- 地域への説明責任(社会性): 広報誌や回覧板。文字だけの殺風景なものでは地元からは敬遠されがちです。AIに指示し作った**「親しみやすいキャラクター」や「工事の流れを解説する4コマ漫画」**を入れてみてください。「地域住民への配慮が行き届いている」と評定アップの可能性が高まります。
- 創意工夫: 「AIを活用してヒヤリハットのイメージ画像を生成し、朝礼で周知した」 これらは「創意工夫」の**「安全教育等に関する工夫」**として申請可能です。高価なソフトは不要。チャットで頼むだけで、加点のネタは、それこそ無限です。

まとめ:月額数千円で「85点」への近道を買う
これらは、数千万円の投資など不要です。 Gemini Advanced や ChatGPT Plus など、月額3,000円〜4,000円程度のサブスクリプションがあれば十分です。
AIの本質は「自動化ツール」にはありません。 膨大な情報を整理し、あなたのチームの知恵を引き出し、発注者との間に信頼の橋をかける**「最強の通訳者」**です。
「図面が読めない」と嘆く前に、AIを使って「見れば分かる」資料を作ってあげる。 それこそが、これからの時代に求められる**「実務支援」**であり、工事成績評定で高得点を連発する企業の新しい常識となるでしょう。
具体的な生成AIの活用方法や、発注者への対応、組織的なAI活用方法など、Blog記事で伝えきれない個別のノウハウについては、当事務所にご相談ください。 → [当事務所の技術サービス(コンサルティング)詳細はこちら] →[お問い合わせ・ご相談はこちら]
(※次回は予定通り、「設計図書照査(赤黄チェック)」をお届けします)


