「キャリアアップ」は本当の退職理由か?離職と評定に共通する「人間心理」の本質|「工事成績評定の本質」実務支援ser.序章1

今日から工事成績評定シリーズを開始していきます。よろしくお願いします。

まず、序章として、「離職」について考えたいと思います。

日経コンストラクション8月号で「監理技術者縛りの苦悩」という記事がありました。内容は、応札時の技術者加点項目を持つ技術者が退職、次の技術者は家族の事情で退任、3人目は加点項目を満たせないので違約金支払い(1.4億円)となったとのことです。

離職というと、若手が定着しないといったところが目立ちますが、このようにベテラン技術者のケースも当然にあり、経営者の皆さまの悩みの種の代表格かと思います。今回は離職ということで、退職や転職をされる側の視点で考えてみようと思います。

かくいう私も、かなり転々と所属を変えてきました。例えば、15年務めた建設会社を「父子家庭」で退職、不安や逆境を乗り越え入った役所、そしてその「公務員」の辞職。周りからは『もったいない』『なぜ?』と何度も言われ、自分自身も、前と違って50半ば、本当にやっていけるんだろうか?と不安と眠れない夜を過ごしたのを、今も覚えています。

ただ、ハッキリいえるのは理由は一つだけではないということです。その背景や前提となる考え方や捉え方、扱い方を、官民双方の実務経験にもとづき改めて熟考・思量して、お伝えしたいと思っています。(私の職歴等はこちら)


なぜ、人は「離職」という決断に至るのか?

先述の記事でも離職理由として、家業継承・転勤・家庭環境・キャリアアップ・結婚育児・人間関係が挙げられます。他にも、仕事内容・長時間労働・成長機会不足・企業風土文化・教育制度などへの不満があるようです。

おそらく、大方の離職理由がこれらにあてはまり、相談を受ける側も実際に、耳にされていることでしょう。

ここで考えたいのは、なぜ離職(転職)という決断にいたったかということです。上記は本音でもあり、しかし表向きの理由としている場合も多いはずです。

「人間は群れを作る動物」であり「周りに溶けこみたいし」「誰かと仲よくなりたいし」「仲間から尊敬や承認を得たい」生き物で、「人間のもっとも深い願望のひとつは何かに属すること」だからです。(※『複利で伸びる1つの習慣』P136より)

その本能を超越して真逆の決断を固くするに至るには、相当なコトがあったからだと思います。

具体的には、以下のように、心当たりのあることばかりだと思います。

  • 問題課題のウヤムヤ化、押し付け、放置、
  • 組織対応と個人対応の混同すりかえ、短期課題と中長期課題の混同、錯誤
  • 現実の不条理なコトに対して、「そういうもんなんだよ」と突き放し
  • 組織から浮いている現状を看過、声をかけるべきときに無視
  • 未来への不安へのごまかし
  • 「俺達もそうやってきた」的な指導法と空気感
  • 社員旅行、飲み会、長い会議、自慢話、武勇伝、強者への迎合、皆さん好きでしたか?
  • 若手への過度の遠慮、ITスキルの有無によるギャップ
  • 若手の素朴な質問からの逃避、忌諱
離職原因を4つのイラスト(意見押しつけ・問題先送り無視・すりかえ・視野狭さ)で表現した

一度は希望や期待をもって入った組織に対して、これらのようなことが幾度も繰り返され、不信感として蓄積し、なにかのきっかけ(家族の介護、キャリアアップ、結婚、等)で辞める行動として表れるのだと思います。

この行動として決断した段階までくると、多くは代替案や協調案はもはや受け付けられない状態でしょう。

そう、ヒトは「感情で決定を下し、論理で正当化する」のです。

日々の小さな『ガマン』や『失望』という名のシコリが、知らず知らずのうちに心の中で固まり、巨大化する。そして、それがもう溶かせないほどカチカチになった時、「家族の介護」「キャリアアップのため」という、誰も反対できない「論理」を最後の武器にして、彼らは静かに会社を去っていくのです。


では、人が辞めない組織とは?

この逆のケースもあります。「気のおけない仲間、信頼できる上司、明瞭で芯の通った組織ビジョン、一体感と勢いや熱量、達成していく充実感と成長の実感、社会への貢献」

こういったものが揃っている組織から、自身の事情や想いに対して様々な代替案や協調案を受けた技術者が、果たして去っていくでしょうか。

もちろんこのような理想の組織などありえないですし、何らかの不満がエネルギーが時として有利に働くことも実際です。が、少しでもこのような、よい要素があれば、離職に至るケースは少ないと思います。

次回は(10月23日(木)に配信予定)は離職する側として、「転職」をテーマに受け入れる側の観点も取り入れて考察してみたいと思います。

ホットな出来事記事まとめはこちら


※「連載予告」でお示ししたエクササイズ、いかがでしょう。この記事のなかにおいて、すでにお示ししました。そんなのあったかな?という方、ぜひ、お手すきのときに頭の軽い体操としていただけましたら幸いです。

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