工事成績評定での安全管理、事故ゼロは当たり前・「実施と記録」を軸に〜|工事成績評定ser.#14
工事成績評定シリーズは、「安全管理」を第14回、第15回の2回でお伝えしていきます。14回目の今回は、工事成績評定のうえでの安全管理項目を確認していきます。
(次回は安全管理の本質を深掘りしつつ、より実践的な内容も考察します)
「安全管理」といいますが、担当者にとっては各工事の労働安全、幹部クラスは束ねる工事全体の労働安全、経営層にとっては、個々の労働安全を大前提としつつ企業防衛・事業リスク対応の色合いが濃くなると思いますが、ここでは工事成績評定での安全管理について考察していきます。
「無事故無災害で終わったから、安全管理の点数は満点だろう」 もしそう思っているなら、工事成績評定の仕組みを全く理解していません。評価における安全とは、結果だけでなく「プロセスとその証明」を指すのです。
考査項目における「安全」の立ち位置と「-3点」の仕組み
工事成績評定において、安全対策は主に「施工状況」という項目の中で評価されます。独立した項目と思われがちですが、直接的には施工状況のなかの一コマです。とはいえ、配点割合が高く、非常に重要なウェイトを占めます。
工事成績評定の資料はこちら→滋賀県HP https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kendoseibi/gizyutsu/303821.html
また、安全分野は「事故をやると点数ダダ下がり」とイメージしている現場代理人の方もいるかもしれませんが、具体的な仕組みは「法令遵守」における減点です。 現場の安全管理が不適切であり、監督員から「口頭注意」を受けると【-3点】です。もちろん、文書注意ならさらに大きな減点がまっています。
工事成績評定における3点のマイナスは、他の項目でどれだけ創意工夫を頑張っても取り返せない「致命傷」になります。80点台、いや85点超えを目指すのであれば、監督員に口頭注意をさせる隙を1ミリも与えない、この覚悟と実行が必要です。
「施工状況(安全活動)」は『記録』が最重要
では、減点を防ぎ、標準以上の点数を取るためには何が必要か。 それは、現場での熱心な声掛けではなく、「活動記録(エビデンス)」です。
どんなに現場で素晴らしい安全指導をしていても、検査官は日常の現場を見ていません。彼らが評価するのは「書類(データ)」です。
・災害防止協議会(安全衛生協議会)の議事録 ・店社パトロールの実施記録と是正報告 ・安全訓練(送り出し教育など)の実施記録 ・日々のKY(危険予知)活動の記録 ・新規入場者教育の記録(署名入り)
残念な代理人は、検査前にこれらを慌てて「作成」しようとします。しかし、「付け焼き刃(つけやきば)」の資料など誰が見ても一目瞭然、無きに等しいです。 高得点を得る代理人は、これらを「日常の事務処理」として、習慣として実施、ファイリング、いつでも監督員や検査官に提示できる状態(可視化)を作っています。

「創意工夫」で安全を加点に変える
当たり前の安全活動(記録)ができたら、次は「創意工夫(加点)」の領域です。 安全衛生の分野は、実は代理人のアイデア次第で加点(a評価)を狙いやすい項目でもあります。
主に以下の3つの切り口で「標準以上の配慮」を仕掛けます。
① 仮設備(安全設備)の工夫
規定通りのバリケードだけでなく、「単管の先端に視認性の高いクッション材を付ける」「昇降設備に滑り止めとLEDセンサーライトを設置する」など、現場の特性に合わせたプラスアルファの物理的対策。
※これらは、昨今の工事現場では当然の処置ですが、整然とした状態を維持管理していくことが重要なのです。
② 安全教育の工夫
単なる座学だけでなく、「VRを活用した墜落体験教育を導入する」「外国人労働者向けに、多言語化された安全看板や音声アラートを設置する」など、伝達効率を劇的に高める工夫。
※AIが普及浸透しています。少し工夫すれば汎用AIで十二分に対応できます。(AI活用に関するBlog記事はこちら)
③ 一般車両・第三者対策
「工事車両の出入り口に、一般車両向けの『待ち時間表示器』を設置する」「通学路に面しているため、独自の交通誘導マニュアルを作成し、町内会と共有する」など、第三者の安全とストレス軽減に直結する対策。
※特に町内会や学校(PTA等)などとの協働・共同の活動は効果大です。
これらの工夫は、実施した上で「創意工夫・実施状況報告書」等に写真付きで記載し、検査官に適切にアピールします。
まとめ:安全は「企業防衛」であり「得点源」である

現場における安全管理は、作業員の命を守る絶対的なものです。 しかし、それを「工事成績評定」という土俵に乗せたとき、それは「いかに隙を見せずに記録を残し、独自の工夫をアピールできるか」という戦略的行為となります。
「口頭注意の-3点」の減点の仕組みを確実に制御しつつ、「創意工夫の加点」を着実に狙う。 この両輪を回すことが、安全管理で高評価を得て、ひいては企業防衛(事業リスクの回避)につながるのです。
次回は、より実践的な現場の「安全管理活動」をOSHMSや事故発生時にも言及してお届けする予定です。
「安全書類の体系化ができていない」「創意工夫として何をアピールすればいいか分からない」といったお悩みは、当事務所にご相談ください。 労働安全コンサルタントの知見から、評価に直結する安全管理の仕組みづくりをサポートします。

