1級土木合格発表。浮かれる部下、凹む部下、そして自身の合否。リーダーが今日やるべき「感情の処理」と「実務の即効策」|実務支援ser.臨時号
1月9日(金)、令和7年度の1級土木施工管理技術検定(第二次検定)の合格発表がありました。 週明けの現場事務所は、悲喜こもごもの空気に包まれていることでしょう。
経営者様、そして現場代理人や工事部長クラスの皆様。 まずは、部下の合否に対する組織対応、本当におつかれさまです。
今回は、単なる手続き論ではなく、**「リーダー自身の振る舞い」と「合格者・不合格者への実務的ハンドリング」**を通じて、今回の結果を会社の「実力(=評定・利益)」に変えるための緊急提言をお届けします。
1. まず「自身の感情」を棚上げし、戦略的に振る舞う
リーダーである皆様自身への提言です。 向上心の高い皆さまのことですから、部下と同じ時期に「技術士」や「労働安全コンサルタント」などの難関試験に挑戦されていた方も多いと思います。
その結果がどうであれ、今は「自身の感情」を一旦脇に置いてください。
- もし部下が受かって、自分が不合格だった場合: 悔しさを押し殺し、全力で部下を称えてください。「俺はダメだったけど、お前はすごいな!」と言える上司に、部下は一生ついていくことでしょう。
- もし自分も受かっていた場合: 自分の自慢話で部下の喜びを塗りつぶさないように。「今回は主役はお前だ」と花を持たせてください。
この**「戦略的な感情コントロール」**こそが、組織の心理的安全性(=良い施工体制)を作ります。自身の合否すらも、部下との信頼関係構築のネタにする。それがリーダーの器だと私は思います(ちなみに私は、なかなかできませんでしたが・・・)。

2. 「一発合格で調子に乗る部下」への特効薬
さて、ここからは部下への対応です。 一番厄介なのが、「1級受かった!もう勉強しなくていいんだ!」と勘違いして調子に乗っている若手です。彼らは自信過剰になり、現場で小さな油断(ポカミス)をするリスクがあります。
彼らには、お祝いの言葉と共に、**「プロとしての洗礼(実務の難題)」**をじんわりと与えるのがよいと思います。
- アクション例: 「合格おめでとう。じゃあ来週から、この現場の『監理技術者』としての書類作成と、**設計図書の『赤黄チェック(詳細照査)』**を任せるな。有資格者としてハンコを押すんだから、責任重大だね(ニヤニヤ)」
資格はゴールではなく、**「責任のスタートライン」**であることを、実務を通じて肌で感じさせる。 これが、彼らを真の技術者に育てる最良の教育です。

3. 「不合格でモチベだだ下がりの部下」への投資
逆に、落ちてひどく落ち込んでいる部下。 ここで「気合が足りない」と突き放すのは、もはやマネジメント放棄です。
B2B視点では、**不合格は「組織の敗北」であり、同時に「仕組みを見直すチャンス」**です。 現場が忙殺しすぎていなかったか? 先輩の指導は機能していたか?
「残念だったな。でも、これは、組織としての『伸びしろ』が見えたということだね。来年はどうバックアップすれば勝てるか、一緒に作戦を立てよう」
こう声をかけ、次年度の計画を共に練る。 この「人を育てる姿勢」は、工事成績評定の**「施工体制(若手育成・組織的な支援)」**において、強力なアピールポイントとなる土壌を育みます。
4. 【即効実務】合格証番号が出たら、秒速で「カネ」に変えろ
最後に、感情論抜きのドライな実務です。 合格者が**「カネ(点数・入札機会)」**になる瞬間を逃さないでください。経営者・管理者が即座に動くべきは以下の3点です。
① コリンズ(CORINS)の「変更登録」
合格証番号が出たら(あるいは合格証明書が届き次第)、稼働中の現場のコリンズデータを更新してください。 「担当技術者」が「監理技術者(有資格者)」に変わるインパクトは絶大です。発注者に対し、**「我が社はこの現場に、有資格者を投入している」**という事実を公式に示すことになります。
② 総合評価方式への「加点」反映
資格者数の増加は、次回の入札(総合評価落札方式)における「企業の技術力評価」や「配置予定技術者の加点」に直結します。 経営事項審査(経審)の評点アップはもちろんですが、それ以上に**「次の入札で勝てるカードが1枚増えた」**という認識を持ち、営業戦略に組み込んでください。
参考:工事成績評定の運用について(滋賀県HP) ※各発注機関の運用表をご確認ください。
③ 名刺の刷り直しとキャリアパスの提示
「1級土木施工管理技士」の文字が入った名刺を、誰よりも早く渡してあげる。 そして、「次はもっと大きな現場を任せるぞ」とキャリアパスを示す。 これが一番のモチベーションアップになり、**離職防止(=採用コストの削減)**という最大の実利をもたらします。
【まとめ】 資格試験の合否は、個人のイベントではありません。 それを「組織の結束」と「技術力の証明」に変えられるかは、月曜日の朝の、皆様の一言と**「素早い事務手続き」**にかかっています。
(※なお、個人の方向けの「合格後のキャリア」や「不合格からの立て直し方」については、別途NoteやXでも、今後、順次発信していきます。そちらも併せてご活用ください。)
(※次回は1/19(月)配信予定です。記事は「設計変更」をお届けの予定です)

