監督員の最大の関心事「会計検査」「業務執行」をひも解く|「工事成績評定の本質」実務支援ser.#3

前回までの記事で、感情と論理による意思決定の関わりや、評定者の実務実態と、信頼されるため、接する側(受注者)のあり方などをみてきました。

今回は、**監督員(担当・係長・課長)の皆さんの「関心事」**について焦点をあてたいと思います。工事成績評定アップを目標として、リソースを配分するにあたり、より効果的な配分手法の拠りどころになると思います。 では、みていきましょう。

1. 担当監督員の「最大の関心事」とは

ここで、前回のエクササイズの答えですが、ある程度実務をされていると必ず遭遇することがら、そう**「会計検査」**です。会計検査は国費(県市町等であれば補助事業)が対象ですが、単独費(略してタンピといいますね)の場合では「内部監査」が相当します。

  • いずれにしても、業務として直接的に関わってくるのが**「積算」**であり、その根拠及び資料整理に膨大な労力と時間を費やしているのが実態でしょう。
  • これ以外の要素として、第三者(地元)・本庁指導項目・発表済みの指標(業務執行)・占用・各種調整(会議)・メディア対応などがあります。
  • その他の特徴として、**「根拠」**については徹底的に訓練される傾向にあります。例えば、法的根拠(出どころ・どこに書いているか・そもそも扱うべきか)、別にこちらは困らない的発想、ボールはどこにある&詰んでしまう的発想が強いように感じます。
  • これらはやはり、「会計検査」でのやりとりを意識して普段から訓練されている部分でもあり、適正な事務処理という理念の現れでもあると思います。
  • 余談ですが、発注者の進行管理手法というのは強烈です。ちょっと民間ではイメージしづらいですが、刑事ドラマの合同会議のシーンが相当します。「業務を執行する」という概念からくる仕組みといえます
発注者の関心事を中央に発注担当、その周りを吹き出しで表現した1枚

2. 「関心事」が評定に影響する具体例

工事成績評定点をあげるための具体は、第1回記事で述べた通り公表されていますので、これをキチンと(チェックが入るように)していけば点数は自ずとあがることとなります。 ところが、ここで重要なのが価値観の共有ということで、「関心事」がでてくるわけです。

  • 例えば、「施工体制」では提出書類が主な項目です。期日までに提出すればよいのですが、いつも提出される書類の中身が不備だらけで、監督員が「赤ペン先生」のように、自ら手直しを行っている実態があるとすれば、どうでしょう。それも会計検査前の忙しい時期に・・・。とてもこの考査項目での加点は望めないでしょう。
  • 「施工状況」でいえば、地元からちょっとした陳情があったとして、実はそこは前々から気にしていることで着手初期段階から受注者に情報提をしていた内容であったとすれば、どのような心境になるでしょう。
  • あるいは、近隣県の会計検査指摘事項の情報をいち早く受注者に伝え再三打ち合わせもしてきたのに、竣工検査でその類似項目を指摘されれば、どのような心境となるでしょう。積算のための数量計算の仕方を事前に伝えていたのに我流の算出、まとめ方(両断面平均法・控除面積の取扱・キャド算出明示なし・少数位の設定ミス等々)で提出され、自分で一から計算し直していたとすればどうでしょう。

3. 「関心事」を工事成績評定に応用する

答えは、発注者が最もストレスを感じる「会計検査」や「積算根拠」といった地雷を、こちら側から先回りして、徹底的に取り除いてあげることです。

彼らを「赤ペン先生」にさせてはいけません。彼らが、ただ「承認」のハンコを押すだけで済むような、完璧な仕事を見せる。それこそが、最強の信頼構築術です。

顧客の心配事を先回りして取り除く様子を登山での先々の道のりでの清掃イラストにより表現した
  • 提出書類の根拠を明示する(そもそも何にもとづいてこの書類を提出しているのか)
  • 協議についても同様、何に基づいた打ち合わせなのか?をハッキリさせて臨む
  • 資料には出典根拠を添付する(イチイチ調べなくてもよいように)
  • 提出した資料の決済が遅い場合、不備や不具合、上席からの指導事項がなかったか確認、できれば内容を把握し修正、今後の提出にいかす(双方の決済のストレス軽減と時間労力の節約、信頼の構築)

(もちろん上記は、受注者の範疇をキッチリと認識したうえで行うべきところですね)


【参考リンク】


今回は、「人は感情で決定を下し、論理で正当化する」の部分の仕上げといえる内容となりました。次回以降の記事では、実務面に沿った内容に徐々に移っていきたいと思います。

次回11/17(月)配信予定の記事は「監督・検査の基礎」を考えたいと思います。

今回のエクササイズ

検査では2つの要素をみています。どのような2分野でしょう。 (コンビニで肉まんを3つ買った場合が、この2つの要素をイメージしやすいでしょう)


※このBlogでは、工事成績評定の考査項目を中心に現場代理人・監理技術者の実務実践力の向上について考察していきます。
※執筆にあたり、各種の書籍と、筆者の官民38年間の公共工事監督経験(建設会社・発注者・コンサルすべて各10年以上の実務経験)を加えて執筆しています。 私の職歴等はこちらです。技術サービス詳細はこちらです。

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