施工プロセスチェックリストの正体。「個人の頑張り」では勝てない?評定は現場と店社の「総力戦」|「工事成績評定の本質」実務支援ser.#1
今回からいよいよ、工事成績評定シリーズの本編をお届けしていきます。
Blogの序章記事では、「人は感情で決定を下し、論理で正当化する」という部分にフォーカスしました。いくら工事成績評定の概要や仕組みを理解しても、この部分が抜けていると「絵に描いた餅」状態で効果的な対策となり難いからです。記事の内容、いかがだったでしょうか。テーマをあえて離職・転職をとりあげましたが、こちらも経営者の皆さまにとって大きな課題であり、何かのヒントになれば幸いです。
さて、本編第1回目は工事成績評定の概要的なところをお伝えしたいと思います。工事成績評定に関する資料は、多くの発注者からHP等で公表されていますが、いくつか閲覧したところ最も内容が、ていねいにわかりやすく公表されているように感じた、下記の資料で記事を進めたいと思います。
▼ 参考資料
滋賀県HP:工事成績評定について(https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kendoseibi/gizyutsu/303821.html)
1. 成績評定の対象・時期・方法
こちらの発注者(滋賀県)の例では、
- 対象: 当初請負費 ≧ 250万円
- 時期: 検査官は検査ごと、監督員は完了検査・一部完成検査時
- 方法: 工事ごとに独立して、「工事成績採点表」で採点・記録。「品質のばらつきの考え方」「施工プロセスのチェックリスト(案)」「創意工夫、社会性等」を考慮。
- 原則: 監督又は検査により確認した事項に基づき、評定者ごとに独立して、的確かつ公正に行う。
とされています。※内容はHP資料より筆者が要約
2. 評定者
「検査職員」「総括監督員」「主任監督員」「監督員」です。
※内容はHP資料より筆者が要約
3. 実務イメージとして
実務のイメージ的には、「ほとんどの工事で、担当・係長・課長・検査官が定まった様式、スタイルで点数をつける。成績はチェックリストや創意工夫、品質ばらつき、などが考慮される」といった感じでしょうか。
※国の機関やネクスコさんは組織が若干異なりますので、適宜読み替えが必要ですね。
4. 施工プロセスチェックリスト
「工事成績採点表」からは、各採点者が担当する考査項目や、その重みづけがわかります。そして、考査項目の内容は「施工プロセスチェックリスト」に詳しく示されています。
※こちらの発注者は考査項目を各評定者にバランスよく実務に沿って配分されていることがよくわかります(イメージ:担当(担当職員)=施工体制・状況・工夫、主任総括(係長級・課長級)=工程安全・工事特性・社会性、検査官(検査職員)=施工管理・出来形及び出来ばえ)
・施工プロセスチェックリストの「考査項目_細別_施工体制一般」をみると、店社の行うべき項目ばかりです。ここからも、入札は経審と技術者点数、いわば「組織と技術者の総力戦」ですが、とった後(契約後)の工事成績評定も実は、技術者だけでなく、店社との「総力戦」であることを今一度、強く認識したいところですね。
・契約の初期段階での提出資料、ほとんどが期日があります。契約工程表(14日以内)・建退共(1ヶ月以内)・請負代金内訳書(14日以内)、これら以上につまづきやすいのは、施工体台帳の下請契約です(契約書と請書・工期・契約日付・内容・実着手日等の整合)。工事初期の段階に書面に不備があって、印象ダウン、減点理由となっては、あまりにも現場代理人が気の毒です。このような資料は、あきらかに店社マターの典型でしょう。

以上が公表されている内容で、「評定者ごとに独立して、的確かつ公正に」行われる仕組みのわけですが、人が人を、組織が組織を評価して定めるわけですから、前回、2回にわけてお伝えしてきた、人の意思決定の特性が関係してきます。
そう、「人は感情で決定を下し、論理で正当化する」のです。
では、実際に会話をしていく現場代理人のどのような所作等が、感情に関係してくるのか、エクササイズしていただければ、幸いです。そして、次回以降もみなさんと工事成績評定の深堀りをしていきたいと思います。
お楽しみに・・・。
※このBlogでは、工事成績評定の考査項目を中心に現場代理人・監理技術者の実務実践力の向上について考察していきます。
※執筆にあたり、各種の書籍と、筆者の官民38年間の公共工事監督経験(建設会社・発注者・コンサルすべて各10年以上の実務経験)を加えて執筆しています。
私の職歴等はこちらです。
エクササイズのヒント
- 人は見かけによらぬもの(印象)
- 笑顔にあたる拳なし(コミュニケーション)
- 三人寄れば文殊の知恵(取り組み姿勢)
- 知らぬ神より身近の仏(遠くの親戚より近くの他人)(取り組み姿勢)


