優秀な転職者が「孤立する罠」の構造とは?評価の本質をひも解く|「工事成績評定の本質」実務支援ser.序章2

工事成績評定シリーズの序章その2の記事をお届けします。前回序章その1では「離職」を職場にフォーカスし、そこを去る人の視点で考えてみました。今回は、新入社員や転職者を受け入れる側の視点も取り入れ、考えてみたいと思います。

日経新聞(2025年10⽉5⽇付朝刊)に『⾒限られた「論破系」新⼈ 解雇無効訴訟』という記事がありました。内容は、メーカーに入社した新入社員の素行問題(研修で反発・工場で工具放り投げ・先輩社員論破)→企業問題視→追い出し部屋→退職勧奨→試用期間延長を経て解雇というものです。これは、企業側からすると、評価のしようがどこにも見当たらない、という極端なケースでしょう。

むしろ、なぜ彼がそのようになってしまったのか?というのが気になるところです。


転職者が陥る「罠」の構造

上記のケース、実は新入社員よりも、転職者の場合に最も当てはまりやすいと思います。それも、転職の面接で期待されて入社した場合が多いでしょう。

というのも、期待される=前職での実績が自他ともに認められるほど優秀だからです。

さて、実際には以下のようなことが展開されます。

  • 面接時:(面接者:人事担当 + 部門長 or 場所長 + 経営層)
  • 配属後:(面接時部門長 ≠ 課長クラス + 主任級 + 担当)
  • 転職者を高く評価した人たちは、配属先には存在しないのです。ここが原因で情報の様々な錯誤が生じます。

【転職者の期待】
「面接時の評価が当然配属先にも伝わっているはず」→「歓迎されるはず」→「やりやすい職場だ」→「大活躍ができるはず」

【配属先の現実】

  • 場所長: 「一体どのようなタイプだろう」→まずは様子見→特段の歓迎やアシストもなし
  • 主任級: 「ライバル出現か?」→警戒→まずはお手並み拝見→見かけの無視状態
  • 担当級: 興味本位→親身な層と様子見の層が混在


「前の職場では…」が、孤立を生む

そして、基本ルーティンを始め、組織文化や風土の違いに実際に直面します。

出退勤打刻・座席順や形態・筆記具の扱い・コピーの取り方・パソコンのオンオフ・指揮命令系統・数々の暗黙ルール…等々。

多くの転職者は概ね、このような経験をするはずです。そのレベルは転勤の比ではありません。何と言っても数時間前まで、受け入れる側からすると部外の人だったんですから。

そして、ほとんどの転職者はこう思うでしょう。
「前の職場ではこうだった」「ずっとこのやり方で成功してきた」「そんなやり方、あり得ないでしょ」と。

最初は「転職したのだから当然だ」と自分にいいきかせつつも、毎日毎時、そのようなことの嵐です。仕事がうまく進められないという焦りが、優秀な成績を挙げてきた人であればあるほど、つのってきます。なぜなら、その優秀な成績とは、置かれた環境を熟知し、環境そのものを使いこなしきってこそ、達成できたものだからです。

やがて、「前の職場では」「俺の経験では…」が口癖となり、「なんなんだ、ここは…」との気持ちが強くなり、気がつけば、周りすべてが敵に見え始めてくる。周りの気遣いやフォローの言葉でさえ、なじられ、試され、まるで追い込まれているような、錯覚を感じ始めるのです。


なぜ、これが「工事成績評定」に繋がるのか

「転職の罠」ともいう、うまくいかないケースを誇張した形で表しましたが、実はこれらが、冒頭にあげた「評価」の本質を示唆しています。そうなんです。人は感情や雰囲気で動くのです。そして、変化を嫌うのも人の特性で、あらたな新参の立場である転職者は、変化であり興味の対象でもあるのです。

工事成績評定は、ここまで極端ではありません。しかし根底には通づるところがあり、ヒトがヒト(&企業)を評価するわけですから当然です。

ヒトは「感情で決定を下し、論理で正当化する」のです。この根源的なことを抑えて、仕組みを紐解いていけば、自ずと成績評定にプラスとなる実際の行動が見えてくるはずです。

次回からは、いよいよ工事成績評定シリーズの本編に入っていきます。第一回は「施工プロセスチェックリストの概要」をみていきたいと思います。お楽しみに…。

今回の記事は、参考文献:「一流の人に学ぶ自分の磨き方」「7つの習慣」と、筆者の経験を併せ、執筆しています。


【編集後記】

あなたが採用した転職者がもし、上記のような「孤立する優秀な転職者」状態になるのを防ぐにはどんな方法があるでしょう。

前時代的な「その化学変化に大いに期待しているんだよ」として放置するのが、人手不足・生産性向上・企業の活力etcに果たしてつながるでしょうか。

このあたりも、ともに考えていければ幸いに存じます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です