【1級土木2次・専門記述問】#6】安全編:知識を定着させ、実務に繋げる

前回は「土工」分野、抑えるべき2点をお届けしました。受験準備でかりに「ハズレ」(出なかった)としても、実務で必ず役に立つ知識、やって損はないというよりも、必須の知識ですので、受験後こそ活用できるでしょう。

さて、「安全」分野ですが過去問を見ると、「安衛則上」や「安衛則の定めにより」との設問で多くの分野から出題されており、正直、受験準備としては荷が重い。費用対効果を考えれば『捨てる』のも一つの戦略と見ることもできます。

しかし、これらの設問群のなかにも一定の回答パターンがあります。もしあなたが現場の安全責任者を目指すなら、この回答パターン、すなわち安衛則に隠された安全の原理原則、『考え方』を知っておいて損はありませんし、応用の根幹となってきます。労働安全コンサル資格の口述試験では、必須の感性といえるかもしれません。そんな、「安全」分野、一緒にみていきましょう。

1. 設問の共通点を抽出してみる

安全の過去問、直近5年間の出題分野は、悪天候後の点検事項、建機の安全対策、語句数値☓→◯に、クレーン作業措置、掘削積込対策、とバラバラです。問題文だけみていると、安衛則やクレーン則を全文丸暗記ということで、非現実的=捨て問題となります。

ここで、問題文をよくみるとすべて「事業者の実施すべき措置」であることがわかります。ここを抑えると何か見えてくるでしょう。

今年度、熱中症対策が義務化されました。「経験記述の書き方」としてお届けしましたが、3大義務、覚えているでしょうか?

体制・手順・周知の3つです。安衛則の「事業者の講ずべき措置」はどの分野であろうとすべて、ここを問うているのです。

  • 体制構築・運用(協議組織設置、連絡調整、巡視、指名、指導・援助、是正指示)
  • 手順(作業方法・順序の策定、立入禁止、仕組み、退避、保護具の使用、緊急時対応)
  • 周知(表示・掲示、書面交付、安全衛生教育)
安衛法の原理原則(体制・手順・周知)を3つのイラストを矢印でつなぎ、その関連をイメージした1枚

これを過去問題に当てはめてみましょう。

悪天候後の点検事項は、体制(指名)と手順(床材・建地・巾木・プレス緊結材etc)、建機の安全は周知(運行経路・方法の計画)手順(地形地質・運行経路・立入禁止・用途外使用・バケットおろす・ヘッドガードetc)クレーン作業は体制(有資格者・合図と合図者)、手順(荷重・アウトリガ・用途外使用・荷吊り放置etc)周知(作業計画=荷重・位置・方法)、掘削積込は建機に同様です。

普段の実務で「体制・手順・周知」を落ち着いて思い出せば、何かしら書けるはずです。

しかも、その内容は、必ず原理原則に基づいているので、当たらずも遠からず、得点に結びつく可能性すらでてきます。少なくとも白紙回答や誤答とはなりません。

さらに、R6年度のサプライズ設問「施工体制台帳」についても同様です。体制・手順・周知を意識すれば、何かしらの当たらずも遠からずの回答を得る可能性も高まります。

  • 体制(再下請のときは元請に通知)
  • 手順(許可種類・健保・工事名称・工期・内容etc)
  • 周知(発注者に写し・閲覧、現場ごと備え置き)

(コラム)なぜ、「事業者の講ずべき措置」が出題されるのか?

安衛法では(目的)第一条で「責任体制の明確化」、(事業者等の責務)第三条で「事業者は・・・労働者の安全と健康を確保する」と記されています。

出展:厚労省HP https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74001000&dataType=0&pageNo=1

「安全の指標(令和3年度)」P74-リスク低減措置の検討の優先順位 のイラストを引用し視覚的表現に資する1枚

これは安全は個々人の注意⼒に頼るのではなく、事業者が「仕組み」として確保するものであると解釈でき、「事業者の講ずべき措置」が出題されるのだと思います。

安全を確保するのは、やりたい本人(事業者)が、まず取り組む決意(体制)をして、危ないものをさがしてやっつけるやり方をみんなでみつけて書いて(手順)、みんなに知らせて(周知)、やってみる。うまいこととまずかったところを次に活かす。

上記の手順では、本質的(そもそも)→工学的(ハード)→管理的(ソフト)→保護具(ダメ押し)というふうな優先順位になっているのだと思います。

※「安全の指標(令和3年度)」P74-リスク低減措置の検討の優先順位 を参照に筆者が要約

なので1級土木試験では繰り返し例えを変えて、安衛法からの出題がなされているのだと思います。


このブログ記事は、合格のためだけでなく、実務のベースとなる知識を身につけるためのものです。
今回で記述問題シリーズを終えて、次回からはまた、100本ノック「安全管理」編の続きに戻ります。一緒に楽しみながら合格を目指しましょう!お楽しみに。

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