【1級土木2次・専門記述問題 #2】コンクリート編(後編):知識を定着させ、実務に繋げる
前回は、コンクリートの記述問題の中でも、思考力が問われる応用問題の解き方を見ていきました。設問を「目的から追う」「不具合から見る」ことで、丸暗記に頼らない道筋が見えたかと思います。(前回の記事はこちら)
今回は後編として、より直接的な「知識問題」への対策と、実務でも必須となる、少し専門的なひび割れの知識について解説します。
1. 「違和感」を武器にする:語句訂正問題の解き方
過去問には、「適切でない語句を適切な語句に訂正する」という形式の問題が出題されることがあります。この手の問題を解く最大の武器は、あなたがこれまで培ってきた「違和感」です。初読で「ん?」と感じたところが、ほぼ間違いなく正解です。
【本番でド忘れした時の処方箋】
では、試験本番で、正しい語句がすぐに出てこない場合どうするか?私なら、設問と真逆を書くような賭けはせず、自分の思うところを表現します。
・実は、正しい語句が浮かばないのは、知識がないからではありません。緊張で、頭の引き出しが開かなくなっているだけです。そんな時は、一度この問題から離れ、得意な穴埋め問題を数問、ゆっくり解いてみましょう。脳が「いつもの過去問演習モード」に切り替われば、自然と「違和感」を感じるセンサーが復活します。
・実務でコンクリートに触れ、あるいは繰り返し、繰り返し過去問題に触れてきたからこそ、必ず違和感があるはずです。語句がパッとこないのは、試験本番の緊張であがっているだけ。常識的に考えれば、必ず白紙回答は避けられます。

- ①再振動時期: 余計な水分(ブリーディング水)や空気を取り除くわけですから、そのタイミングは…?
- ②仕上げ作業後のひび割れ処置: 仕上げ済みのピカピカに仕上がったコンクリート表面、果たしてもう一度バイブレータを挿入できる?
- ③打継ぎ面の状態: 表面がカラカラの状態で、新しい生コンを打って、うまく一体化する?
- ④スペーサの材質: 鉄筋のかぶりを確保するためのアイテム、なのに鉄製品?
※おそらく①の再振動時期が最も答えにくいでしょう。難問に惑わされず、分かるものから確実に解くのが鉄則です。
2. 【実務では必須】水和熱・ASRひび割れ対策の知識
ひび割れ対策を問う設問では、「沈みひび割れ」や「コールドジョイント」の他に、「水和熱ひび割れ」と「アルカリシリカ反応(ASR)」が挙げられることがあります。これらは試験対策というより、実務で必須の知識ですので、簡単にご紹介します。
(1)水和熱(マスコンクリート)によるひび割れ
橋台の竪壁やボックスカルバートの側壁など、部材寸法の大きいマスコンクリートで問題となります。
- ① 発生のメカニズム
コンクリート打設→水和熱が蓄積→コンクリート膨張→徐々に温度降下→コンクリートが収縮→収縮したいが下部が先打ちコンクリート等に付着して拘束(なので外部拘束)→ひび割れ発生 - ② 対策
ここが、回答となります。原因から考えると、

・膨張して収縮する→収縮量を少なくすればよい→コンクリート断面積を小さく(打設計画検討)温度上昇がある→温度差をなくせばよい→配合(混和剤)、保温養生etcひび割れが入る→ひび割れ抑制鉄筋で対抗、計画的ひび割れ(=誘発目地)
と考えていくとよいです。
※内部拘束と併せて興味のある方はこちらのHPが参考(3ページ目)になると思います
(2)アルカリシリカ反応(ASR)によるひび割れ
私が実際に補修した経験では、ゲル状物質で汚れ、鉄筋が破断しているものもあり、非常に厄介な劣化です。
① 発生のメカニズム
セメントアルカリ分+反応性骨材→ゲル生成→ゲルが水分で膨張→ひび割れ発生。上記のメカニズムなので、構造物全体にひび割れが亀の甲に発生するわけです。
※PC部材や柱など、圧縮がかかるとひび割れは軸方向のみのようです

- ②対策
- シリカゲルが発生しなければよい:アルカリ分がある→総量規制(1㎥「Na₂O換算で3.0kg以下」)、悪い骨材が反応してゲル生成→無害骨材の使用反応そのものを抑制できればいい:高炉セメントやフライアッシュセメントを使う
このブログ記事は、合格のためだけでなく、実務のベースとなる知識を身につけるためのものです。次回の記述問題シリーズでは「施工」を扱います。ほぼ、パターン化でき、頻出している分野です。一緒に楽しみながら合格を目指しましょう!お楽しみに。


