地下インフラ3Dマップ化。それでもなくならない『不明管』のリスクと、現場代理人の突破力
1. 3D化加速で「チカマイ」の状況把握は加速する
2025年8月31日(日)の日経新聞朝刊に「地下インフラ電子情報に」という記事が掲載されています。NTTデータなど7社が地下インフラの位置を瞬時に把握するための技術を開発、今後2033年度までに50都市で土台となるデータの電子化に着手して、事前調査や設備更新の際の調整に役立てるという内容です。
現在も、都内の都心部については事業者単位で電子データはもっているはずです。これらも活用して一元的にということかと思います。ちなみに、都内で工事を行う場合は「道路調整」という仕組みがあり、これをガチで運用しています。都心部で何か(公共)工事をやろうとしても、この場に諮らないと施工できない仕組みとなっています。中規模クラスの工事でも、設計の初期段階から情報をあげてこの場にアナウンスしつつ何年もかけて調整を重ねていきます。大規模な事業の場合は本庁対応ということで、さらに多くの手続きと時間を要することとなります。もちろん、各インフラ事業者は専門部署を構えています。
今回の取組は、都心では今以上に位置情報の把握が迅速化され、周辺都市にもその仕組が広がり協議段階での状況把握は間違いなく迅速になり、省力化ともなることが期待されます。
2. 現場の実践実務①(取付管)
さて、ここからですが、工事の段階はそうはいかないでしょう。埋設物の構造は本管(主要とか枝とかありますが)と各戸から本管に接続する取付管(or引込み管)からなっています。本管の損傷事故もありますが、この取付管(or引込み管)をよくやってしまいます。各事業者立ち会いのもと、試掘を行いますが、この試掘のときに損傷してしまうという笑えないケースも実務では起こりうるのです。なぜならば、埋設位置が平面的にも深さ方向にも全くことなる場所に埋設されているからです。
3. 現場の実践実務②(不明管)
さらに、本管のX構築・更新や耐震化工事では「不明管」なるものの存在があります。持ち主不明・管理者不明のもので、道路管理者さえもわかっていないケースです。埋設管というのは、液体・気体・電流のどれかを、いわば包んでいるわけですが、正体不明なだけになかなか手が出せない。
さて、あなたがこの事態に遭遇した際、どうさばくか?上司ならどのような指示を出すでしょうか?
不明管がでてきました。問合せます。問合せを受けた側は、「調査の結果、それはウチのものではないです。」という回答です。主要インフラ(だいたい6企業程度)あちこち駆け回っても同様の回答、道路管理者は「そう言われても台帳に載ってないんじゃね~、なんとも言えないね」と人ごとの対応というのが一般的です。
不明管をかわす設計変更を行うというのがセオリーでしょう。しかし、変更をするのにまた今度は内部協議から始めるわけです。該当工事のほとんどが不明管埋設路線であった場合、早々に工事を打ち切りたいわけですが、受注者からなかなか提案できるものでなく、時間だけがすぎていきます。
4. 解決のヒント
「不明管との遭遇」これは避けようがないものです。ただし、ここであきらめずに、この状況をいかに早く解決し工事を進め、当初の期待利益を確保していくか?というのが現場代理人として最重要課題です。
このような状況を突破するには、新設埋設管きょの切り回しや掘削技術といった専門技術力、同時にそれ以上に重要ともいえる実務実践の力、すなわち、複雑に絡み合う関係者を動かし、合意形成へと導く『手順(プロセス)』を設計・実行する力、この両輪が不可欠です。具体的には契約図書や技術基準、指示・提案・確認等の手続きに基づいた合意形成プロセスの設計と実行があたります。どのような占用企業が関連し、道路管理者も含め担当者はどのようなタイプか?このような属人的な要素も含みつつ、効果的に調整を進め発注者の意思決定を促していく必要があります。
このような複雑な状況への対応は、マニュアル化が困難で一つ一つの現場の状況に応じた、オーダーメイドの解決策が必要となります。当事務所では、こうした個別課題の解決策を、貴社と共に模索していくことも可能です。
(本記事は、日本経済新聞2025年8月31日朝刊の記事を参考に筆者の実務経験に基づき執筆したものです)
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