「分別は当然でしょ?」その一言が現場を赤字にする。循環経済時代のリアルな課題

1. 大手はもう始めている。「循環経済」という新しい常識

2025年8月25日の日経新聞朝刊に、建物解体に伴い発生する石綿等を含む廃鋼材の再生利用に関する記事が掲載されました。この記事では、鹿島が鉛・石綿の付着した廃鋼材(鉄スクラップ)を無害化して再生し、鉄筋として利用する仕組みを構築するとのことです。この再生鉄筋は年間1万トン、中大型ビル数棟分に相当し、鉄筋単価は通常のものと同等、他のゼネコンにも呼びかけて再生鉄筋の利用を増やしていくと報じられています。

リサイクルというとコンクリート塊が99%以上ということで、皆さま馴染み深いかと思いますが、石綿付きの鋼材リサイクルとは考えたものです。3年後の2028年には解体件数が年間10万棟に達ししばらく続くと予測されており、非常にホットな分野、時代に即した新技術と言えるでしょう。

記事では鹿島だけでなく、他の大手ゼネコンや建築事務所、環境省の取り組みなどにも触れており、今後この傾向はますます強くなっていくことが予想されます。

このニュースは、単なる「リサイクル技術」の話ではありません。それは、「安全対策」「技術提案」そして「廃棄・コスト管理」という、施工管理の根幹を揺るがすテーマなのです。※安全対策については前回記事もご参照ください

今回は特に、3つ目の「廃棄の仕方」について、私の現場での経験を交えながら深掘りします。


2. しかし、現場で起きている「現実」

さて、問題となるのは、3つ目の「廃棄の仕方」です。
左の写真は、まだ最近の工事ですが、既設伸縮装置のものです。

ご覧のように、遊間部分の既設防水ゴムが簡単には取れません。分別しようにも、せっかくきれいに塊で撤去した伸縮装置を細かくガス切断した上で、人力で剥がすという手間のかかるやり方になります。さらにガス切断となると、有害なガスが出るわけで、なかなか作業を請けてくれるところがないという現実的な問題もあります。


3. 近づきつつある「板挟みの未来」

今回の記事の流れが加速すると、「そんなの分別は当然でしょ」という社会的な雰囲気が、働き方改革よりもさらに強くなるでしょう。そして、発注者からは、「(分別にかかる追加コストは)変更理由に該当しない」という、いわば伝家の宝刀が持ち出されることになります。

もちろん、発注者も意地悪で言っているわけではありません。「適正な事務処理」「アカウンタビリティ」という理念や行動原則があり、そこをクリアする必要があるのです。

では、かといって協力業者に無理を言って分別してもらう、あるいは自腹をきって「施工承諾」の事務手続きで産業廃棄物として処理する、といった対応にも限界があります。まさに、「にっちもさっちもいかない」状況が、すぐそこまで来ています。


4. 今、現場技術者に求められる「仕組み」を考える力

では、どうすればいいのか?

答えは、「現場で正しく分別・管理できる体制」と、それを利益に繋げる交渉術を、再現性のある「仕組み」として構築することです。しかし、日々の業務に追われる中で、これを独力で作り上げるのは容易ではありません。

当事務所では、「利益の残る仕組み」を貴社の現状に沿って可能性を探り、オーダーメイドで設計し、現場に定着するまで伴走するお手伝いも可能です。
このブログでは、今後も最新ニュースを題材として、皆さまの実務実践に役立つヒントを掲載していきますので、ご活用ください。

(この記事は日本経済新聞2025年8月25日朝刊の記事を参考に筆者の実務経験に基づき執筆したものです)

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